【アニポケ25周年記念】ポケモンアニメの科学的・文化的検証 ~ポケモンの世界ってあり得るの?~

アニメ・漫画

ポケモンのアニメが開始した年に生まれポケモンと共に育った私は、常にこの不思議な世界に魅せられてきた。今回は、25周年を迎えたアニメに敬意を払って、特別に考察を書いていこうと思う。

この考察は、著者である私が長年疑問に思っていたことを検証していくものである。具体的には、ポケモンアニメがスタートした1997年という時代設定は、科学的、文化的な観点から果たしてどれだけ現実味があるのかという時代考証を行っていく。社会統計学の言葉を借りれば、

対立仮設:この世界で、1997年にポケモンが存在していないという事象を除いて、そのほかはすべて再現不可能である。

⇒帰無仮説:この世界で、1997年にポケモンが存在していないという事象を除いて、そのほかはすべて再現が可能である。

を考察していくこととする。そもそも、アニメの世界はほとんどが非現実的であることは大前提だが、ポケモンの世界をできるだけ現実に近づけようとするとどうなるのかを検証していきたい。

①科学的検証 1 「画像認識機能のイリュージョン」

ポケモンのアニメがスタートしたのは、1997年4月1日である。主人公であるサトシがピカチュウの電撃をくらい黒焦げになるシーン、愛くるしいムッツリピカチュウが紐につながれゴム手袋で引っ張られながら嫌々歩くシーン、傷だらけになったピカチュウを必死に守るサトシのシーンでお馴染みのあの伝説の一話目である。とまあ、伝説残るシーンはさておき、ポケモンの世界の三種の神器のうちの一つ「ポケモンずかん」に注目しよう。

ポケモンずかんは、目の前にいるポケモンを「スキャン」もしくは「ボイス入力」で反応する。この時点で、今の我々の生活に普通に使用されるSiriやAlexa,Googleの画像認識と同じ機能であることがわかる。

“Photo recognition”,すなわち画像認識が許容されるエラーの数での実行と使用可能なレベルまで到達したのは、2010年代である。ポケモンアニメが開始した1997年代、10歳の少年の手に収まる小ささの機械に、2010年代で開発されていたレベルのCPUとグラフィックボード、パワーソースによって構成されていたと考えるとポケモンの世界は少なくとも13年ほど時代を先取りしていることになる。

ちなみに、サトシがよく自分の母親と会話をする際に使用する「テレビ電話」だが、こちらは時代と調和しているらしい。パナソニックの世界発のワイヤレステレビ電話が発売されたのが1996年であるらしく、心配性のサトママがワイヤレス機器を息子に持たせないのが不思議なくらいである。

ポケモンの世界における科学技術のすさまじい発展は、あげればきりがない。ポケモンを交換するマシーンもかなり興味深く、ポケモンの世界では所有者以外がそのポケモンをゲットすることができないという決まりとなっており、所有者とモンスターボールとポケモンの間には他者が簡単に打ち破ることのできない契約が存在している。ポケモン交換マシーンを使用するとき、「所有者」が変わるという意味では、モンスターボールに何らかの所有者を認識するプログラミングが書き込まれていて、マシーンの中でそれが書き換えられ、別の所有者の情報が刻まれることとなる。それが、あの10秒程度で行われていると考えると、プログラミングの基礎がない私には到底想像がつかないほどの超高速な処理が行われていることになる。

1997年というタイムラインからはずれるが、一つどうしても気になる技術が2006年のポケモン映画「蒼海の王子マナフィ」に出てくるポケモンレンジャーの水中の呼吸器である。あれは一体どんな仕組みになっているのであろうか?水中に含まれる酸素を凝縮して取り込み、二酸化炭素を排出しているというまさに魚の鰓呼吸と同じことを再現しているのであろう。であるなら、あの機械が手に入ったらどれだけダイビングが楽しいだろう。著者は幼いながらにそんな風に憧れていた。

検証1においては、ポケモンの世界は1997年において科学的整合性が取れない。ちなみにこれはp値が5%以下であることは間違いない。そのため、帰無仮説を棄却する。

②科学的検証 2 「モンスターボールのイリュージョン」

モンスターボールはどうなっているのか?それを疑問に思った視聴者は少なくないだろう。これに関しては、私なんかよりも数十倍わかりやすい解説を見つけたので、そちらをぜひ紹介させていただきたい。 小さなモンスターボールに、ポケモンが入る。どうなっているの?|空想科学研究所 『ポケットモンスター』の世界に欠かせないアイテムが「モンスターボール」である。たとえばアニメでは、主人公のサトシが「☆☆☆ www.kusokagaku.co.jp

こちらのサイトで説明されていることをまとめると、

「質量保存の法則(物質が変化しても、原子の総量は変わらない)」にしたがえば、生物学的「変態」を通して、ポケモンがマイナス何十倍も小さくなる際にそのポケモンを構成する分子が体外へ流出し、また大きくなる際に取り込んで大きくなるということである。分子を取り込めんで再生できるということは、ポケモンは周囲の分子で成り立っているということになる、と大変興味深い考察がされていた。

また、下記のサイトでは、ポケモンを電子データ化してモンスターボール内に送り込んでいるという考察がなされている。こちらもかなり興味深い。 モンスターボールの仕組みから察するにポケモンって電子データだと思うんだよね | eスポーツキャッチ esportscatch.com モンスターボールの仕組み、ヤバすぎる – 意識低い系SNS-GABUNOMY 1: 2020/02/12(水) 15:21:20.333 ID:ntNi0cqS0 ボールに「入る」時データを読み取 lowawareness.com

検証2においてもいわずもがな科学的整合性が取れない。p値が5%以下であることは間違いないため、帰無仮説を棄却する。

③文化的検証 「10歳旅立ち イリュージョン」

ポケモンの世界では、トレーナーは10歳で家を出て修行の旅に出ることが許される。まれにXY、XYZシリーズのユリーカやアドバンスジェネレーションのマサトのような「お兄ちゃんやお姉ちゃんと一緒」と言った特別な例を除き、その年齢は一律である。だが、よく考えてみてほしい。10歳である。

10歳で家を出て、ほとんど親元に帰省することもなく、一人で旅に出るのである。サン・ムーンでは (2016年~2019年)スマホロトムが導入されおそらく家族と連絡がつくと思われるが、それまではほとんど連絡手段も安否を確認する手段もない。コンテストに出場したりサトシがXYでガブリアスを救出した際に民間放映されない限り、テレビで見ることもない。

つまり、

息子や娘を愛するママ、パパは気が気ではない。

サトシのママが、いかにもおせっかいのように描かれる、あれは寂しさを裏付けしている。そんな、一年に数回会えるか会えないかわからないなんて、親として成長を見守ってあげられないなんて辛すぎる!そして危険すぎる!むしろ、無責任すぎるような気もしている。

10歳で独り立ち、後は野となれ山となれ、社会の荒波にもまれながら生き抜いていくしかないのである。流石に旅の資金はもらっているようであるが、野宿、食料配達、危険な山道、仲間との別れ、挫折、、、それをすべて一人で体得していくのである。つい最近、日本において18歳が成人となったが、バックパッカーの増える大学生たちと比べても、ポケモンの世界は「バトル」や「競争」がつきものなので、相当に過酷である。

子供たちを愛する両親の心中ははかりしれない。

日本において、親元にほとんどかえらず、連絡手段もない1997年のサトシのような状況は日本の文化的にまず許容されないと考えるため、満場一致で帰無仮説が棄却できる。

④検証結果

①から③の検証を通し、ポケモンの世界は1997年にポケモンが存在していたとしたら、起こりえない設定であることがわかる。

よって、帰無仮説:この世界で、1997年にポケモンが存在していないという事象を除いて、そのほかはすべて再現が可能である。は却下され、対立仮説を採択することとする。

今回は、ポケモンの世界は科学的にも文化的にも現実的ではないというある意味安心した結果となった。今回検証をした理由としては、ポケモンの世界はポケモンとスーパーマサラ人サトシさえいればなんとなくありえそうな設定であるため、少し要素を抽出して検証をしてみたかったからである。これはすべて、著者のポケモン愛に帰する。

とにかく、ポケモン25周年おめでとう。

そして、ここまで読んでくれた皆様に、最大の感謝を申し上げたい。

ポケモン、ゲットだぜ!

参考文献 Excel講師が教える「帰無仮説」と「対立仮説」について | 榊裕次郎の公式ブログ – Transparently こんにちは! Excel講師の榊裕次郎です。 この記事では、統計学において「検定」の際に登場する「帰無(きむ)仮説」と「対 www.transparently.jp

face recognition の仕組み The History of Facial Recognition Technologies: How Image Recognition Got So Advanced With ongoing calls for regulation of facial recognition techn anyconnect.com

テレビ電話の歴史 History of Video Calls: From Fantasy to Flops to Facetime A visual history of the science and sci-fi of phone calls you www.pcworld.idg.com.au

魚の鰓呼吸 魚のエラ呼吸の仕組み。陸上で呼吸出来ない理由とか。 – アクアハーミット 魚は肺ではなく鰓(えら)によって呼吸を行います。 水中でしか呼吸できない仕組みや、水面でパクパクする理由などを絡め、魚のえ www.aquahermit.com

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